農地の遺産分割～農業経営に寄与したことが考慮される

こんにちは。
青森県弘前市の行政書士、香取です。

本日は、農地の遺産分割に当たり、農業経営に寄与してきたことが考慮される可能性はあるか？について説明します。
一般的な法律相談に対する解説・回答になります。行政書士が業務として相談に応じられない場合があることをご了承ください。

◎質問

・家が農家で、耕作地は父が所有しています。先日、その父が亡くなり、農地を遺産分割することになりました。私は実家の農業経営を随分と手伝ってきたのですが、そのことは遺産分割の際に考慮される可能性はありますか。

◎解説

・遺産分割に当たり寄与分の主張をすることが考えられます。
・寄与分は共同相続人の中で、①被相続人の事業に関する労務の提供、②被相続人の事業に関する財産上の給付、③被相続人の療養看護、④その他の方法で、被相続人の財産の維持、増加に特別の寄与をした者があるときに、その寄与分を遺産分けに考慮する制度です。
・本ケースでは、父の農業を手伝っていたとのことですから寄与分を検討してください。ただし、どのように手伝ったのか、それによって父はどのくらい助かったのか、手伝うことで自分の生活がどう犠牲になったかなどを具体的に主張することが大切です。お金をもらっていたのなら特別の寄与をしたとはいえないでしょう。それと、この寄与分を主張したいときには、まず相続人間で協議し、協議できないときには調停の申し立てをします。もし、遺産分割調停が先行して申立てられていても、必ず寄与分を定める調停の申し立てをしてください。
・寄与分を定める調停の申し立てをしていなくても、遺産分割調停の中で寄与分を主張し、それを分割協議の中で考慮して分割協議が成立するのならよいのですが、もし、協議が成立しないときには遺産分割は調停から審判に移行します。この審判の中で寄与分を主張しても裁判所は判断はしませんので注意してください。
・もし、審判に移行する可能性があるときは、必ず寄与分を定める調停を申し立て、遺産分割協議と併合してもらうことが必要です。こうしておけば、もし、遺産分割協議が審判に移行しても、寄与分を定める調停も一緒に移行し、審判の中で寄与分の検討をしてもらえることになります。
・なお、単に親と同居していたなどのときには、なかなか寄与分を認めてくれないのが現状です。

◇ポイント

・民法による判断・・・遺産分割に当たり寄与分の主張をすることができます。相続人間で協議し、協議できないときには調停の申し立てをします。

本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。