離婚協議 実際にあった裁判例 ~DV夫との面会・子供の引き渡し・退職金の財産分与~
ご訪問ありがとうございます。
青森県弘前市の行政書士香取です。
本日は、離婚協議 裁判例 その3について説明します。(前回よりの続きとなります)。
◎夫のDVと面会について
・夫のDVにより、妻は子(1歳)を連れて別居をした。離婚訴訟中に夫が別居先を訪れ、妻にDV行為を行ったため、妻からの申し立てにより、夫に接近禁止命令(保護命令)が発令された。その後、夫は子供との面会交流を申し立てたが、調停不成立となり、審判に移行した。夫は別居後、子供の通う保育園に10数回にわたり連絡なしに突然出向き、保育園に対して威圧的な態度で保育園側を困惑させた。結果、子供は夫と面会後に精神的に不安定となった場合。
□夫婦間の状況、別居後の夫の行動などを考慮して、面会交流を認めることが子の福祉に値するかどうか。
〈判決〉夫婦が極めて深刻な紛争・緊張状態にあることなどから、現時点における夫と子の面会交流を実施することは、子の福祉を害するおそれが強いとして、夫の申し立てを却下しました。
◎子供の引き渡しを求める保全処分について
・心療内科受診のため、妻が夫に長男を預けて別居をした。その間に夫婦の間で離婚話が持ち上がり、夫婦関係調整調停が行われたが成立しなかった。妻は夫に長男との面接を拒まれたため、妻は長男を保育所から連れ出し、夫に居所を教えなかった。そこで夫は家庭裁判所に長男の仮の引き渡しを求める審判前の保全処分を申し立てたが、却下された。そこで夫は抗告した場合。
□心療内科での治療のため別居をした妻が、夫の子との面会拒否を理由に、長男を夫から実力行使で奪取した。子供の利益を考えて、子供と住むという以前の状態に戻すことを求めた夫の申し立てが認められるかどうか。
〈判決〉長男に特に不利益な状態が予測されない限り、妻に奪取された長男は、一度夫の下に戻した後に、子の福祉を考慮して改めて監護者を決めるのが妥当だとし、夫の申し立てを認めました。
◎退職金の財産分与の算定について
・離婚に際して、夫に将来給付が見込まれる退職金の財産分与を妻が求めた。夫は定年となる60歳まで最長5年間勤務することが見込まれる。裁判では、夫に550万円の支払いが命じられたが、妻はこれを不服として控訴し、夫も付帯訴訟(民事訴訟において、控訴人の控訴審手続き内で、被控訴人が自分に不利益な部分について行う訴訟の事)を行った場合。
□従来、退職金を財産分与の対象とする場合、判決時に定めた一定額の支払いを命じることが一般的。本事例では、財産分与として退職金の支払いを行う場合、退職金の算定基礎である本俸の変動、退職事由などにより退職金の支給額が変動する可能性をどのように判断するか。
〈判決〉一定額の支払いを命じた原判決を変更して、退職時に支払われる「退職時期」と「実際の退職金支給額」によって定められる額の支払いが命じられました。
本日はここまでとします。次回、離婚協議 裁判例 その4に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
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