遺言書~複数の日付(無効?)/作成日と異なる日付の場合は?
こんにちは。本日は、遺言書 複数の日付が記載されている場合、異なる日付が記載されている場合について説明します。
◎複数の日付が記載されている場合
・学説は、複数の日付が記載された遺言について有効と解していますが、「反証のない限り、後の日付に完結せられた遺言として取り扱うべき」とする学説と「遺言の内容等に照らし、いずれかが真正の日付と解されるときは、その真正の日付をもって、遺言書の日付とすべき」とする説があります。判例は、第1葉末尾には昭和46年10月18日、第2~4末尾には昭和47年11月10日と記載されている遺言書について「両者は全体として1個の遺言を形成しているものというべく、この場合、本件遺言の日付は、特段の反証のない本件においては、後の日付である昭和47年11月10日であると認めるべきである」としたものがあります。
◎真実の遺言作成日と異なる日付が記載されている場合
・故意に真実に反する日付を記載した場合は、遺言の要式行為性に反するものとして無効というべきであります。
・誤記の場合は、その取扱いが問題となります。判例は、昭和48年秋に死亡した者が、同年夏入院中に知人の弁護士から勧められて昭和48年8月27日に作成した遺言書を「昭和28年8月27日」とした事例について「自筆遺言証書に記載された日付が真実の日付と相違しても、その誤記であること及び真実の作成の日が遺言証書の記載その他から容易に判明する場合には、日付の誤りは遺言を無効ならしめるものではない」とし、錯誤であること及び真実の作成の日が容易に判明する場合は有効となるとしたものがあります。
◎遺言者以外の相続人が、遺言書の日付を記載した場合の問題点
・上記のとおり、遺言は要式行為であるため日付の自筆が必要とされているところ、遺言者以外の相続人が遺言書の日付を記載した場合が問題となります。
・遺言者が本文を記載して日付を記載しないまま署名押印して、自宅に保管していたところ、相続人の1人である被告が日付を記載して遺言書を完成させたという事案に関する判例があります。
・上記判決では、「遺言書が方式を欠き無効である場合に、相続人が方式を具備させて有効な遺言書またはその訂正としての外形を作出する行為は、民法891条5号にいう遺言書の偽造又は変造に当たるが、それが遺言者の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨でされたに過ぎないものであるときは、上記相続人は、同号所定の相続欠格者には当たらない」とする最高裁昭和56年4月3日判決を引用しつつ、被告が遺言者の意思に基づかずに日付を記載することは、「未だ有効に作成されたものとはいえない遺言書を、外形を整えて完成させるものであるから」民法891条5号にいう変造に当たるとした上、「その変造は、日付の記載という、時的要素を判断する上で重要な記載に関するものであり、単に遺言書の名下に欠けていた印を押すというような行為とは異なるものであるから、それをもって遺言書の意思を実現させるため、その法形式を整える趣旨でしたものと見ることはできない」として、相続人たる被告を民法891条5号の変造を行った者として、相続欠格人に当たるとしました。
※ちょっとアドバイス
・遺言書の要式行為性からすると、日付は必ず記載すること、遺言書は1日で作成し遺言書を作成した日付を誤りなく記載すること、日付は後日紛争とならないように「年・月・日」を1つだけ記載すること、といったことを確実に守ることが後日の紛争を回避するために重要であります。
本日はここまでとします。次回、認知症の者が遺言を作成するときはに続きます。
またのご訪問お待ちしております。
関連記事
おススメ記事
-
経営事項審査(経審)と工事入札参加までの流れ|青森市/弘前市/五所川原市
-
行政書士ができる相続手続き~青森県・弘前市
-
産業廃棄物収集運搬許可とは?~青森県/弘前市の行政書士から解説
-
スナックの開業に必要な営業許可~青森県・弘前市ほか(最短3日で申請)
-
車庫証明に必要な書類と書き方・マニュアルについて ~青森県・弘前市他の場合~
-
会社設立
会社の称号・目的の決定、定款の作成、定款の認証、出資金の払い込み、必要書類及び申請書類の作成、設立の登記の申請(登記申請は司法書士に依頼)
-
車庫証明
車庫証明手続き代行。申請書類、添付書類作成・申請等
-
建設業許可申請
建設業許可の新規取得・更新手続き・業種追加等
-
内容証明
クーリングオフ等に内容証明作成・発送代行
-
遺言書作成
相続手続公正証書遺言・秘密証書遺言の作成サポート
自筆証書遺言は当事務所では取り扱いしておりません -
農地転用
農地転用に関わる申請手続きをサポート
-
入管業務
入管業務(ビザ・VISA支援サポート)在留資格認定・更新・変更・取得申請、短期滞在書類作成、就労資格証明書交付申請、資格外活動許可申請、永住許可・帰化許可申請、再入国許可申請
-
その他業務
海事代理士業務、ドローン飛行許可申請、古物商許可申請、産業廃棄物許可申請、宅地建物取引業者免許申請、その他各種手続き・代行・サポート
-
お問い合わせ
相談初回無料まずはお気軽にお電話・メールにてお問い合わせください。
-
面談
日時を調整し、ご指定の場所又は事務所等にて面談を行います。
-
お見積
ご依頼の内容に必要な手続き等の説明と見積もりを提示。ご納得頂ければ正式な手続依頼となります。
-
書類作成・代行等
お客様に変わって取得できる書類の作成・手配等を行います。(着手金・実費等をお支払いいただきます)
-
完了とご精算
手続きが完了しましたら、お預かりした書類等の返却と、残金のご精算となります。
事業に専念してもらうことが事務所の方針です。
メール・電話相談初回無料
メール・電話どちらもお気軽にお問い合せください。
弘前市及び津軽一円
- 弘前市
- 黒石市
- 平川市
- 青森市
- 五所川原市
- つがる市
- 藤崎町
- 大鰐町
- 板柳町
- 鶴田町
- 鰺ヶ沢町
- 深浦町
- 中泊町
- 田舎館村
- 西目屋村
※上記以外の地域も相談に応じます。
お気軽に問い合わせ、相談ください。
〒036-8064 青森県弘前市大字東城北3丁目1番地8