不利益事実の不告知、断定的判断の提供による取消し～マンション購入

こんにちは。
青森県弘前市の行政書士、香取です。

本日は、不利益事実の不告知、断定的判断の提供による取消しについて説明します。
一般的な法律相談に対する回答・解説になります。また、行政書士が業務として相談に応じられない場合があることをご了承下さい。

◎相談

・販売業者から「日当たり良好」と言われ、マンションを購入しましたが、その後、南側隣地でマンションの建設計画があることを知りました。売買契約を解消できませんか。また、「鉄道の新駅計画があるので値上がり確実」と言われましたが、そのような計画がなかった場合はどうですか。

◎回答・解説

１．不利益事実の不告知

・販売業者の行為が不利益事実の不告知に該当すれば、売買契約を取り消すことができます。
・不利益事実の不告知による取消しの要件は以下の通りです。

①事業者の行為

㋐消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項又は当該重要事項に関連する事項につき消費者の利益となる旨を告げること
㋑当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実（当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限ります）を故意に告げなかったこと

②消費者の誤認と意思表示

・当該事実が存在しないものと誤認し、それによって消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をすること
・本件相談の前段において、販売業者は「日当たり良好」と、本件マンションに関する重要事項に関連する事項につき消費者に利益となる旨を告げています。他方で、販売業者は、南側隣地のマンション建設計画という消費者に不利益な事実を告知していません。この南側隣地のマンション建設計画という事実は、「日当たり良好」との告知内容から通常存在しないものと考えるべきものです。
・したがって、販売業者が南側隣地のマンション建設計画を知っていた場合、販売業者の行為は不利益事実の不告知に該当するとして、売買契約を取り消すことができます。

２．断定的判断の提供

・販売業者の行為が断定的判断の提供に該当すれば、売買契約を取り消すことができます。
・断定的判断の提供による取消しの要件は以下の通りです。

①事業者の行為

・消費者契約の締結について勧誘するに際し、当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること

②消費者の誤認と意思表示

・提供された断定的判断の内容が確実であると誤認し、それによって、消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をすること
・本件相談の後段において、販売業者は、本件マンションの将来におけるその価値が「将来における変動が不確実な事項」であるにもかかわらず、「確実に値上がりする」という断定的判断を提供しています。
・したがって、販売業者の行為は、断定的判断の提供に該当するとして、売買契約を取り消すことができます。

本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。