労働契約の終了に関して~解雇が制限される場合
こんにちは。本日は、労働契約の終了について説明します。
一般的な法律相談に対する回答・解説になります。また、行政書士が業務として相談に応じられない場合があることをご了承下さい。
・期間の定めのない雇用契約は、各当事者がいつでも解約を申し入れることができますが(民627①)、以下の制限があります。
1.解雇が制限される場合
(1)法律上の解雇禁止
・解雇は、法律上解雇が禁止される場合に該当するときは無効となります(労基19等)。主な例としては、次のものがあります。
①業務上の負傷・疾病による休業期間及びその後の30日間、産前産後の休業期間及びその後の30日間
②国籍、性別、信条、社会的身分を理由とする差別解雇
③行政官庁等への申告等を理由とする解雇
④労使協定の過半数代表者になり、またなろうとしたこと、過半数代表者として正当な活動をしたことを理由とする解雇
⑤企画型裁量労働制の不同意を理由とする解雇、企画型裁量労働制の労使委員会の労働者委員になり、またなろうとしたこと、労働者委員として正当な活動をしたことを理由とする解雇
⑥不当労働行為となる解雇
⑦女性労働者の婚姻、妊娠、出産、産前産後休業等を理由とする解雇
⑧育児、介護休業を理由とする解雇
⑨労働者派遣の一般派遣業務の派遣可能期間決定の際の意見聴取等の労働者の過半数代表となり、またなろうとしたこと、過半数代表として正当な活動をしたことを理由とする解雇
⑩公益通報をしたことを理由とする解雇
⑪裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと等を理由とする解雇
(2)解雇権濫用
・解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、権利の濫用として無効になります(労契16)。「客観的に合理的な理由」とは、解雇事由に該当するか否か判断するもの、「社会通念上相当」とは、当該事実関係の下で解雇という重い処分をすることが一般人から見てやむを得ないといえるか判断するものであります。
2.解雇に必要な手続
・解雇する場合には、原則として、少なくとも30日前に従業員に解雇を予告するか、又は予告手当(30日分の平均賃金)を支払うことが必要であります(労基20①)。ただし、予告日数は、1日分の平均賃金を支払った日数だけ短縮することができます。
3.退職勧奨
・退職勧奨とは、使用者が労働者に対し強制ではない退職の働きかけを行い、自主退職を促すことであります。退職勧奨は、勧奨に留まる限り違法となりませんが、態様が半強制的又は執拗で社会的に相当な範囲を超える場合、従業員の人格的利益を侵害し違法となります。
・また、虚偽の事実を告げて退職勧奨を行ったときは、労働者の承諾があったとしても錯誤により無効となる場合があります。
※ポイント
◇解雇する場合は①法律上の解雇禁止に当たらないこと、②解雇権濫用に当たらないこと、③解雇予告等を行うことが必要であります。
◇退職勧奨とは、使用者が労働者に対する強制ではない退職の働きかけにより自主退社を促すことであります。
本日はここまでとします。次回、営業秘密(秘密管理措置)に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
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