不実告知による取消し~消費者契約法
こんにちは。
青森県弘前市の行政書士、香取です。
本日は、不実告知による取消し~消費者契約法について説明します。
一般的な法律相談に対する回答・解説になります。また、行政書士が業務として相談に応じられない場合が有ることをご了承ください。
◎質問
・販売業者から、「タイヤの溝が大きくすり減っていて、このままでは走ると危ない」と言われ、新しいタイヤを購入しましたが、そのような事実がないことが判明しました。売買契約を解消して、代金の返還を請求することはできませんか。私が個人事業者で配達のために利用していた自動車のタイヤを購入した場合はどうでしょうか。
◎回答・解説
1.不実告知による取消し
・消費者契約法は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等は、契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとしています。
・民法96条1項の詐欺取消しが認められるためには、販売業者の二重の故意を立証することが必要ですが、販売業者の行為が不実告知に該当すれば、二重の故意を立証することなく、契約の申し込み又は承諾の意思表示を取り消すことができます。不実告知による取消しの要件は以下のとおりです。
①事業者の行為
・消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げること
②消費者の誤認と意思表示
・告げられた内容が事実であると誤認し、それによって、消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をすること
・不実告知による取消しが認められるためには、「重要事項」について不実告知があったことが必要です。以下の事項を「重要事項」と規定しています。
Ⅰ 当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
Ⅱ 当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
Ⅲ 当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情
・本件相談において、販売業者は勧誘に際し、事実と異なり「タイヤの溝が大きくすり減っていて、このままでは走ると危ない」と告げていますが、これは生命・身体の危険を回避する必要性に関する事項について、事実と異なることを告げていることになります。したがって、重要事項について不実告知があったとして、売買契約の申込みの意思表示を取り消した上で売買代金の返還を請求することができます。
2.消費者契約とは
・不実告知による取消しが認められるためには、当該契約が「消費者契約」であることが前提です。「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいい、「消費者」とは、個人とされていますが、そのうち「事業として又は事業のために契約者となる場合」は除かれています。
・本件相談の後段では、配達という「事業のために」契約した場合ですので、タイヤの売買契約は「消費者契約」に該当しません。したがって、民法上の詐欺取消しを検討することになります。
※ポイント
◇販売業者の行為は消費者契約法の不実告知に該当。
◇売買契約を取消し、代金の返還請求が可能。
◇個人事業者の場合は、原則、消費者契約法の適用はない。
本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
関連記事
おススメ記事
-
経営事項審査(経審)と工事入札参加までの流れ|青森市/弘前市/五所川原市
-
行政書士ができる相続手続き~青森県・弘前市
-
産業廃棄物収集運搬許可とは?~青森県/弘前市の行政書士から解説
-
スナックの開業に必要な営業許可~青森県・弘前市ほか(最短3日で申請)
-
車庫証明に必要な書類と書き方・マニュアルについて ~青森県・弘前市他の場合~
-
会社設立
会社の称号・目的の決定、定款の作成、定款の認証、出資金の払い込み、必要書類及び申請書類の作成、設立の登記の申請(登記申請は司法書士に依頼)
-
車庫証明
車庫証明手続き代行。申請書類、添付書類作成・申請等
-
建設業許可申請
建設業許可の新規取得・更新手続き・業種追加等
-
内容証明
クーリングオフ等に内容証明作成・発送代行
-
遺言書作成
相続手続公正証書遺言・秘密証書遺言の作成サポート
自筆証書遺言は当事務所では取り扱いしておりません -
農地転用
農地転用に関わる申請手続きをサポート
-
入管業務
入管業務(ビザ・VISA支援サポート)在留資格認定・更新・変更・取得申請、短期滞在書類作成、就労資格証明書交付申請、資格外活動許可申請、永住許可・帰化許可申請、再入国許可申請
-
その他業務
海事代理士業務、ドローン飛行許可申請、古物商許可申請、産業廃棄物許可申請、宅地建物取引業者免許申請、その他各種手続き・代行・サポート
-
お問い合わせ
相談初回無料まずはお気軽にお電話・メールにてお問い合わせください。
-
面談
日時を調整し、ご指定の場所又は事務所等にて面談を行います。
-
お見積
ご依頼の内容に必要な手続き等の説明と見積もりを提示。ご納得頂ければ正式な手続依頼となります。
-
書類作成・代行等
お客様に変わって取得できる書類の作成・手配等を行います。(着手金・実費等をお支払いいただきます)
-
完了とご精算
手続きが完了しましたら、お預かりした書類等の返却と、残金のご精算となります。
事業に専念してもらうことが事務所の方針です。
メール・電話相談初回無料
メール・電話どちらもお気軽にお問い合せください。
弘前市及び津軽一円
- 弘前市
- 黒石市
- 平川市
- 青森市
- 五所川原市
- つがる市
- 藤崎町
- 大鰐町
- 板柳町
- 鶴田町
- 鰺ヶ沢町
- 深浦町
- 中泊町
- 田舎館村
- 西目屋村
※上記以外の地域も相談に応じます。
お気軽に問い合わせ、相談ください。
〒036-8064 青森県弘前市大字東城北3丁目1番地8