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不実告知による取消し~消費者契約法

2019/2/4

こんにちは。
青森県弘前市の行政書士、香取です。

本日は、不実告知による取消し~消費者契約法について説明します。
一般的な法律相談に対する回答・解説になります。また、行政書士が業務として相談に応じられない場合が有ることをご了承ください。

◎質問

・販売業者から、「タイヤの溝が大きくすり減っていて、このままでは走ると危ない」と言われ、新しいタイヤを購入しましたが、そのような事実がないことが判明しました。売買契約を解消して、代金の返還を請求することはできませんか。私が個人事業者で配達のために利用していた自動車のタイヤを購入した場合はどうでしょうか。

◎回答・解説

1.不実告知による取消し

・消費者契約法は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等は、契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとしています。
・民法96条1項の詐欺取消しが認められるためには、販売業者の二重の故意を立証することが必要ですが、販売業者の行為が不実告知に該当すれば、二重の故意を立証することなく、契約の申し込み又は承諾の意思表示を取り消すことができます。不実告知による取消しの要件は以下のとおりです。

①事業者の行為

・消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げること

②消費者の誤認と意思表示

・告げられた内容が事実であると誤認し、それによって、消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をすること
・不実告知による取消しが認められるためには、「重要事項」について不実告知があったことが必要です。以下の事項を「重要事項」と規定しています。

Ⅰ 当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
Ⅱ 当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
Ⅲ 当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情

・本件相談において、販売業者は勧誘に際し、事実と異なり「タイヤの溝が大きくすり減っていて、このままでは走ると危ない」と告げていますが、これは生命・身体の危険を回避する必要性に関する事項について、事実と異なることを告げていることになります。したがって、重要事項について不実告知があったとして、売買契約の申込みの意思表示を取り消した上で売買代金の返還を請求することができます。

2.消費者契約とは

・不実告知による取消しが認められるためには、当該契約が「消費者契約」であることが前提です。「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいい、「消費者」とは、個人とされていますが、そのうち「事業として又は事業のために契約者となる場合」は除かれています。
・本件相談の後段では、配達という「事業のために」契約した場合ですので、タイヤの売買契約は「消費者契約」に該当しません。したがって、民法上の詐欺取消しを検討することになります。

※ポイント

◇販売業者の行為は消費者契約法の不実告知に該当。
◇売買契約を取消し、代金の返還請求が可能。
◇個人事業者の場合は、原則、消費者契約法の適用はない。

本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。

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