自筆証書遺言の作成方法と注意点 ~実は認印でも有効です~
ご訪問ありがとうございます。
青森県弘前市の行政書士香取です。
本日は、自筆証書遺言の作成方法と注意点その2について説明します。(前回よりの続きとなります。)
◎日付
・日付についても遺言者の自書が必要とされております。日付が必要とされる理由は、遺言作成時の遺言者の遺言能力の有無、内容の抵触する複数の遺言がある場合に、その先後関係を明らかにして撤回の有無を判断するためであります。日付がない遺言は無効であります。なお、日付印を押しただけでは自書の要件を満たさないため無効となります。
1)日付の記載方法としては、年、月、日を明らかにして記載します。西暦でも元号でもどちらでも問題ありません。日付は遺言の成立の日が確定出来れば問題ないので、平成29年の私の誕生日、還暦の日などという記載でも問題ありません。ただし、平成29年12月吉日という記載は日付の特定を欠くものとして無効と解されております。
2)遺言の全文を自書した翌日に、前日の日付を記載したとしても有効と解されております。なお、遺言者が錯誤により日付を間違えて記載したものについては、誤記であること及び真実の作成日が証書の記載その他から容易に判明する場合には、遺言を無効とすべきでないと解されております。
3)日付の記載場所については、本文を記載して署名の前に記載されるのが通常ですが、遺言者が遺言の全文、氏名を自書して押印したものを封筒に入れ封印(本文の印と同じもの)し、封筒に日付を自書した場合にも、有効であると解されております。
◎自署
・遺言書には、遺言者が氏名を自署しなければならないとされております。これは、遺言者の同一性及び遺言者の意思に基づくものであることを確保するためであります。氏名については、通常は戸籍上の氏名が用いられますが、通称、ペンネーム、雅号を用いても問題ないと考えられます。氏名又は名のみの記載であっても、遺言の他の記載内容から遺言者の同一性が分かる場合には、有効と解されています。もっとも、要らぬ紛争を招き最終的に遺言が無効になってしまっては、最終意思を実現することが出来ません。したがって、署名は、戸籍上の氏名を正確に記載するのが望ましいと考えられます。
◎押印
・押印は、原則として遺言者自身がしなければなりません。これは遺言者の同一性及び遺言が遺言者の意思に基づくものであることを担保するためであります。
1)使用する印には格別制限は無く、実印を用いる必要はありません。認印でも良いと考えられています。指印でも良いと解されております。もっとも、指印では誰の指印であるのか疑義が出る可能性がありますので、実印を使用するのが望ましいと考えられます。
2)遺言者が他人に押印を依頼してその他人が遺言者の面前で押印した場合や、入院中の遺言者の指示で遺言者から実印を預かった遺言者の娘が自宅に持ち帰り、自宅で押印した場合にも有効であると解されております。
3)押印の場所については、横書きの場合には氏名の右横、縦書きの場合には氏名の下にされるのが通常でありますが、封筒の封じ目にされた押印でも良いとされております。また、遺言書自体には押印がなくとも、封筒に記載された氏名の下に押印がある場合にも有効であると解されております。
◎作成上の留意点
1)遺言書に用いられる字、用語については特に制限はありません。意味がしっかりと分かれば略字を用いることも出来ます。
2)用紙、用具についても格別制限はありません。保存に耐えるものが望ましいと考えられます。筆記用具については、保存及び変造防止のため、鉛筆ではなくボールペン、万年筆が望ましいと考えられます。
3)遺言書の様式については特に制限はありません。遺言書が数枚に渡る場合には、契印するのが望ましいと考えられます。
4)相続ないし遺贈する財産の特定については、明確に特定するように気をつけるべきであります。
※ちょっとアドバイス
・自筆証書遺言を作成するのでしたら、読みやすい字で明確に、財産の遺漏がないように気を付けるべきであります。また、遺言書が見つけて貰えない可能性も有りますので、作成段階から弁護士・司法書士・行政書士等に相談し、場合によっては保管を依頼することも考えられます。
本日はここまでとします。次回、公正証書遺言の作成方法と注意点に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
関連記事
おススメ記事
-
経営事項審査(経審)と工事入札参加までの流れ|青森市/弘前市/五所川原市
-
行政書士ができる相続手続き~青森県・弘前市
-
産業廃棄物収集運搬許可とは?~青森県/弘前市の行政書士から解説
-
スナックの開業に必要な営業許可~青森県・弘前市ほか(最短3日で申請)
-
車庫証明に必要な書類と書き方・マニュアルについて ~青森県・弘前市他の場合~
-
会社設立
会社の称号・目的の決定、定款の作成、定款の認証、出資金の払い込み、必要書類及び申請書類の作成、設立の登記の申請(登記申請は司法書士に依頼)
-
車庫証明
車庫証明手続き代行。申請書類、添付書類作成・申請等
-
建設業許可申請
建設業許可の新規取得・更新手続き・業種追加等
-
内容証明
クーリングオフ等に内容証明作成・発送代行
-
遺言書作成
相続手続公正証書遺言・秘密証書遺言の作成サポート
自筆証書遺言は当事務所では取り扱いしておりません -
農地転用
農地転用に関わる申請手続きをサポート
-
入管業務
入管業務(ビザ・VISA支援サポート)在留資格認定・更新・変更・取得申請、短期滞在書類作成、就労資格証明書交付申請、資格外活動許可申請、永住許可・帰化許可申請、再入国許可申請
-
その他業務
海事代理士業務、ドローン飛行許可申請、古物商許可申請、産業廃棄物許可申請、宅地建物取引業者免許申請、その他各種手続き・代行・サポート
-
お問い合わせ
相談初回無料まずはお気軽にお電話・メールにてお問い合わせください。
-
面談
日時を調整し、ご指定の場所又は事務所等にて面談を行います。
-
お見積
ご依頼の内容に必要な手続き等の説明と見積もりを提示。ご納得頂ければ正式な手続依頼となります。
-
書類作成・代行等
お客様に変わって取得できる書類の作成・手配等を行います。(着手金・実費等をお支払いいただきます)
-
完了とご精算
手続きが完了しましたら、お預かりした書類等の返却と、残金のご精算となります。
事業に専念してもらうことが事務所の方針です。
メール・電話相談初回無料
メール・電話どちらもお気軽にお問い合せください。
弘前市及び津軽一円
- 弘前市
- 黒石市
- 平川市
- 青森市
- 五所川原市
- つがる市
- 藤崎町
- 大鰐町
- 板柳町
- 鶴田町
- 鰺ヶ沢町
- 深浦町
- 中泊町
- 田舎館村
- 西目屋村
※上記以外の地域も相談に応じます。
お気軽に問い合わせ、相談ください。
〒036-8064 青森県弘前市大字東城北3丁目1番地8