証人・立会人の事実上の欠格事由~遺言書作成にあたり
こんにちは。本日は、証人・立会人の事実上の欠格事由について説明します。
◎証人・立会人の事実上の欠格事由
・法律上欠格者として挙げられていない者についても証人・立会人となる事に適さない者は、いわゆる事実上の欠格者として、証人・立会人になることができません。以下、事実上の欠格者に関し、問題となっている者について説明します。
1.署名することができない者
・証人は署名が必要であるため、これができない者は証人・立会人となれません。
2.遺言者の口授を理解できない者
・証人は、死亡危急者遺言では遺言者の口授の筆記を、船舶遭難者遺言では遺言の趣旨の筆記を、それぞれ課せられています。筆記を行うのは証人のうち1人ですが、証人全員が遺言者の口授の内容を理解できなければ実効性がないため、証人・立会人は遺言者の口授を理解できる者でなければなりません。
3.筆記の正確なことを承認する能力がない者
・証人は、公正証書遺言や死亡危急者遺言において筆記の正確なことを承認した後、署名押印することが求められており、筆記の正確なことを承認する能力のある者でなければなりません。もっとも、判例は、目の見えない者は、人違いがないこと及び遺言者が真意に基づき遺言の趣旨を口授することを確認する能力を欠いている者ではないなどとして、民法所定の欠格者でも、事実上の欠格者でもないとしています。
4.口のきけない者
・死亡危急者遺言では証人のうち1人が遺言の趣旨を口授して、遺言者及び他の証人に口授しなければならないため、口のきけない者は事実上の欠格者となるという見解もありますが、死亡危急者遺言の読み聞かせを行う証人以外にはなれるという見解もありました。しかし、口のきけない者については、平成11年の民法の改正により口のきけない者であっても、通訳人の通訳により遺言の内容を確認することができることとなったため、事実上の欠格者にならないのではないかと思われます。
5.法定代理人(親権者・成年後見人)・保佐人
・法定代理人は、未成年者や成年被後見人の財産管理権を有するため、また、保佐人も同意権等財産に対し関与するため、未成年者・成年被後見人・被保佐人の遺言に影響を与えるおそれがあるため、証人となり得ないとする見解と、民法974条が制限的列挙の規定であることから、欠格者とならないとする見解とがあります。争いがあることからすると、できる限り法定代理人を証人・立会人とすることは避けた方がよいと考えられます。
6.遺言執行者
・判例は、利害関係を有する者でなければ証人となることができるとしています。
◎欠格者が立ち会って作成された遺言の効力
・証人又は立会人の欠格者が立ち会って作成された遺言は、方式を欠くものとして遺言全体が無効になるのが原則と考えられます。もっとも、「遺言公正証書の作成に当たり、民法所定の証人が立ち会っている以上、たまたま当該遺言の証人となることができない者が同席していたとしても、この者によって遺言の内容が左右されたり、遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなどの特段の事情のない限り、当該遺言公正証書の作成手続を違法で」無効であるということはできないとする判例があります。
◎ちょっとアドバイス
・民法974条に定める証人・立会人の欠格者のほかに、事実上の欠格者として証人・立会人になれない者がいます。事実上の欠格者として検討対象となっている者についても意見が分かれるものが含まれております。遺言の内容の真実性を明らかにするためにも、できる限り利害関係のない、事実上の欠格者にも該当しない者に証人・立会人になってもらうことが良いといえます。
本日はここまでとします。次回、遺言書の押印・署名の方法と注意点に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
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