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農地を遺言で相続させる・遺贈する場合について

2019/1/14

こんにちは。
青森県弘前市の行政書士、香取です。

本日は、遺言で農地を相続させることは可能か?と農地を「遺贈する」との遺言はできるか?について説明します。
一般的な法律相談に対する回答・解説になります。また、行政書士が業務として相談に応じられない場合があることをご了承下さい。

◎質問

・会社員の長男が耕作を手伝ってくれているので、その農地は遺言で長男に相続してもらいたいのですが、できますか。

◎回答・解説

・遺言で農地を相続人に取得させることは可能です。遺言の種類(自筆証書遺言、公正証書遺言など)は問いません。
・また、包括遺贈(全財産を長男に取得させるケース)でも、特定遺贈(個々の財産を特定して長男に取得させるケース)でも、どちらでも農地法の許可等は不要であるとされています。
・なお、遺言で第三者が農地を取得する場合には、農地法の許可等は必要ですが、これも包括遺贈であれば許可等は不要とされています。なお、相続人に遺贈する場合は「相続させる」と表現するのが良いでしょう。
・ところで、遺言の場合の登記手続に当たり、従前は裁判所と登記所との考えが一致せず、裁判所では農地法の許可等は不要としても、登記の際には許可等の書類の添付を求められることもありました。
・しかし、相続人に対する遺言の場合、その内容が包括遺贈であっても特定遺贈であっても、許可等の書類の添付は登記申請にあたり不要という取り扱いになりました。もちろん、遺言で農地を取得した場合には、遅滞なく農業委員会への届け出をしてください。

◎質問

・遺言書で農地を長男にあげようと思っています。「その農地を長男に遺贈する」と書けますか。

◎回答・解説

・農地を遺言で相続人である長男に遺贈するに当たり、農地法の許可等は不要です。
・本ケースでも、長男に遺言で農地を相続させることは可能です。しかし、本ケースでは遺言の文言を「相続させる」ではなく「遺贈する」という文言の遺言書を作成しようとしていると思われます。相続人に対して「遺贈する」と記載する遺言書を作成しても相続はできます。
・しかし、「相続させる」と記載すれば、受遺者である長男の単独申請で登記手続ができるのに、「遺贈する」と記載すると、登記義務者と受遺者との共同申請を登記所に対してする必要があります。
・具体的には他の相続人に登記手続の協力を要請する必要があり、もし、他の相続人が協力してくれないときには、裁判を申し立てて、判決で登記手続をしなければならなくなります。
・したがって、相続人に対して農地やその他の不動産を取得させる遺言を作成するのであれば「相続させる」と記載しておくべきでしょう。
・相続人以外の者に遺言で財産を取得させるときは「遺贈する」と記載しますが、もし「相続させる」と記載しても「遺贈する」に読み替えますので、第三者である受遺者が単独で登記手続を行うことはできません。
・なお、登録免許税については「相続させる」としても「遺贈する」としても、不動産の価額の1000分の4です。

本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。

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