物損事故と人損事故
こんにちは。
青森県弘前市の行政書士、香取です。
本日は、物損事故と人損事故について説明します。また、行政書士が業務として相談に応じられない場合が有ることをご了承ください。
◎相談
①2か月前に事故に遭い、治療費や慰謝料は保険で支払うので物損扱いにして欲しいと言われ物損扱いにしていますが、実際は首が痛くて通院しています。何か不利益はありますか。
②保険会社から、物損だけ先に解決したいと言われていますが、過失割合について争いがあります。人身損害についても物損解決時の過失割合になってしまいますか。
◇物損事故扱いとされた場合のデメリット
・交通事故の事故態様については、当事者が自ら作った図面や写真などのほかに、刑事記録を利用して立証していくことが考えられます。
・刑事記録については、人身損害がある場合で、加害者が起訴された場合には、確定前は裁判所、確定後は検察庁で刑事記録一式を閲覧等することができます。不起訴となった場合にも、実況見分調書については管轄の検察庁において閲覧謄写ができます(以上に付き検察庁の運用については地域差がありますので管轄検察庁に確認してください。)。
・警察に物損事故扱いとして届け出てしまうと、ごく簡単な図面等が描かれた物件事故報告書を警察署から取り寄せるだけとなってしまいます。しかも、多くの警察では、弁護士会照会又は裁判所からの送付嘱託がない限り、出してくれません。
・したがって、事故態様に争いがある事件の場合、重要な証拠となる刑事記録がほぼ存在しないことになるデメリットがあります。
●刑事記録の取り寄せ
①人身事故
起訴された場合→刑事記録一式:裁判所(確定前)
起訴された場合→刑事記録一式:検察庁(確定後)
不起訴の場合 →原則として実況見分調書:検察庁
②物損事故 →物件事故報告書:警察署
◇物損の過失割合と人損の過失割合
・物損も人損も一つの事故から発生した損害であるため、本来、過失割合は同じになるはずです。しかし、物損の方が人損と比べ損害額が少額になる事が多いことも有り、加害者側の保険会社が、物損について過失割合を譲歩して早期に解決してくれることがあります。この場合、物損の示談書にあえて事故そのものについての過失割合を確認する条項が入ってない限り、その後の交渉で人損の過失割合を拘束しないのが通常です。
・よって、当事者間の過失割合についての主張が全く相反しており、先に物損解決をするのに適さないような事例や、過失割合について強いこだわりがあり、相手方が提示してきた物損の過失割合にも納得ができない場合でない限り、物損の解決を先行しても不都合は生じにくいでしょう。
◇相談のポイント
●①については警察から実況見分調書を取り寄せることができず、物件事故報告書が得られるだけ。
●②については物損で決めた過失割合にとらわれるわけではない。
本日はここまでとします。次回に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
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