危急時遺言で失敗しないための「6つのポイント」~危急時に行う遺言の作成方法
こんにちは。本日は、危急時に行う遺言の作成方法について説明します。
◎特別方式による遺言
・遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という普通方式の遺言があります。しかし、死期が迫っているなどして普通方式による遺言を作成することができない状況にある者が遺言することができるようにするため、法は作成要件を緩和した特別方式の遺言を制度として定めております。特別方式の遺言には、死亡の危急に迫った者が行う危急時遺言と一般社会から隔絶された状況におかれた者が行う隔絶地遺言があります。さらに、危急時遺言には、一般危急時遺言と船舶遭難者遺言があり、隔絶地遺言には、伝染病隔離者遺言と在船者遺言があります。
◎危急時遺言「6つのポイント」
一般危急時遺言
次の要件を満たす場合には一般危急時遺言をすることができます。
1. 疾病その他の事由によって死亡の危急が迫っていること
・死亡の危急が迫っているか否かについては、遺言者が主観的に自己に死亡の危急が迫っていると判断すれば足りると解されております。もっとも単なる予想程度では足りません。なお、遺言者が危急状態から脱して普通方式の遺言ができるようになってから6か月が経過した場合には、危急時遺言の効力は生じないとされております。
2. 証人3人以上が立会うこと
・証人は欠格事由のない証人適格を有する者でなければなりません。したがって、例えば証人3人の中に推定相続人が1人でもいる場合には、この要件を欠くことになり遺言は無効になります。なお、証人全員が遺言の最初から終わりまで立ち会っている必要があります。
3. 遺言者が証人の1人に対し遺言の趣旨を口授すること
・口授とは、言葉を口で話して相手に伝えることを意味しますので、基本的には口授する能力が必要とされております。もっとも、遺言者が、口がきけない者の場合は、遺言者が証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳によって申述して口授に代えることになります。
4. 口授を受けた者がこれを筆記すること
・筆記は、口授されたことと一文一句同じである必要はなく、口授の趣旨が筆記されていれば良いと解されております。なお、筆記にはタイプライター、ワープロを利用しても良いと解されております。筆記する場所は、口授とは違う場所でも良いと解されております。筆記したものを加除・訂正するに場合には、筆記者及び各証人が変更した旨を付記し、署名・押印をしなければなりません。
5. 口授を受けた者が筆記したものを遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させること
・遺言者又は証人が、耳が聞こえない者の場合は、筆記した内容を通訳人の通訳によって読み聞かせに代えることになります。
6. 各証人がその筆記が正確なことを承認した後これに署名押印すること
・証人全員が署名押印をする必要がありますが、押印は認印でかまいません。遺言者本人の署名押印は不要であります。日付は普通遺言と異なり要件とされていませんので、記載する必要はありません。
本日はここまでとします。次回、危急時遺言 効力発生の要件に続きます。
またのご訪問お待ちしております。
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