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認知症の者が遺言を作成する場合~遺言能力/効力

2018/6/30

こんにちは。本日は、認知症の者が遺言を作成する場合について説明します。

◎認知症の老人が遺言書を残したいと述べている場合に、認知症の老人が遺言をしても遺言は無効となってしまうのでしょうか。また、どのような手続によれば有効な遺言を残すことができるのでしょうか。

・遺言者が認知症であるからといって必ず遺言が無効となるものではありませんが、遺言作成時における認知症が相当程度重症である(判断能力が相当程度低下している)にもかかわらず複雑な内容の遺言書を作成するのは、なるべく避けた方が良いと思われます。
・認知症の遺言者であっても、通常の手続によって有効な遺言をし、遺言書を作成することができます。ただし、遺言者が成年被後見人である場合、遺言者が遺言書作成時に事理を弁識する能力を一時回復していることや医師2名以上の立合いが要求されております。近時、成年被後見人である遺言者による遺言につき、「事理を弁識する能力を一時回復した時」(民973)の要件を厳格に解し、遺言能力を否定した裁判例もあり、成年被後見人による遺言には高度なリスクが伴うことに注意が必要であります。

◇遺言能力

・民法は、遺言者が満15歳以上で、遺言する時において能力を有していれば遺言することができるとしております。遺言をする能力を遺言能力といい、民法963条の「能力」とは一般に意思能力を指すものと考えられます。泥酔者などには意思能力はなく、認知症の者も、症状の程度が進行しており事理を弁識する能力を欠く状態になっているような場合には意思能力なしとして遺言は無効になります。
・民法は、一般の法律行為については、判断能力を有しない者を保護する見地から、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の規定を設け、それぞれ行為に制限を受ける旨の規定を定めております。しかし、民法は、遺言に関しては、15歳以上であれば遺言能力を有するとし、制限行為能力者についてその規定を適応しないとしており(民962)、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人も遺言能力を有するとしております。民法がこのような一般的な法律行為と異なる定めをおいた趣旨は、遺言は、自然人の最終的な意思であり、できる限り尊重するべきであるという価値判断が働くこと、遺言の内容は認知等の身分行為も含まれること、一般法律行為ほどの保護を制限行為能力者に与えなくても、遺言の効果が発生するのは遺言者死亡時からである(民985)ため遺言者の保護に欠けることはないことが挙げられます。
・もっとも、成年被後見人については、後述しますように事理を弁識する能力を一時回復した時点において、医師2名以上の立合いの下、遺言をしなければならないと定めております。
・よって、15歳以上であり、かつ意思能力を有する場合には遺言をすることはできますが、成年被後見人については民法の定める手続によらなければならないことになります。このことはすべての方式の遺言に当てはまります。

本日はここまでとします。次回、成年被後見人の遺言に続きます。
またのご訪問お待ちしております。

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